ケトアシ(DKA)は飢餓状態?!の巻
皆様こんにちこんばんは!
皆様、ダイエットしてますか?笑
いきなり失礼な問いかけですまみせん。
以前に高K血症とGI療法についてお話しました。
その記事の中でDKA(糖尿病性ケトアシドーシス)について軽く触れました。
糖尿病=高血糖=意識障害ってなると"ケトアシ"を思い浮かべる方は多いと思います。
DKAは1型の糖尿病の方に多い病態です。
ICUに入室する理由として頻度が高いというわけではありませんがとても重症な病態です。
ただICUに配属=ケトアシの勉強!!
とはならないですよねぇ^^;
ICUに配属されると人工呼吸器や補助循環、心臓外科、敗血症などに目がむきがちではないでしょうか??(と〜ちゃんもそうでした笑)
なのでこれを機にマイナーな糖代謝異常について一緒に勉強しましょう^^
それでは早速いきましょう!
<本日の内容>
血糖とケトン体はどうつながるの??
■DKAの病態について学習する
DKAの本態はただ血糖が上昇していることではなく
血中のケトンが増加することにより代謝性アシドーシスを引き起こすことです。
また高血糖に起因した様々な有害事象によって生体の恒常性を阻害します。
以前の記事でも説明しましたが
インスリンはグルコースを細胞内に栄養源として取り込むことで血中のグルコース濃度(血糖値)を下げます。
つまりインスリンがなければグルコースをエネルギー源として利用することができなくなります。
そうなると生体はどこからかエネルギー源を持ってこないと,エネルギー(ATP)を作り出すことができません。
皆さんも給料を貰わなければ働けませんよね??笑
そして施設から給料払えません!と言われたら
他の施設に就職して給料を貰わなければ生活できません(ぴえん)
生体もこれと同じなんですね。
1型糖尿病の場合,インスリンの基礎分泌が欠乏しているためインスリンを補わなければ高血糖になります。
どのような時にDKAになるのか??
答えは感染症などの疾患に罹患した場合に起こります。(インスリンの投与不足や投与忘れによっても起こります)
感染症だけではなく手術操作などもそうですが
生体にストレス侵襲が加わると体内では様々なホルモンが分泌されます。
例えばコルチゾール(ステロイド)や成長ホルモン,カテコールアミン,グルカゴンなどがあります。
これらのホルモンは血糖を上昇させる作用があります。
なぜかというと
生体にとって侵襲が加わることは命が脅かされている状態です。
これらに立ち向かうためには,筋肉や脂肪,貯蔵している糖を血中に動員して侵襲に立ち向かうためのエネルギーを産生する必要があります。
つまりエネルギーの需要が高まっていると言えます。
前述したホルモン(ストレスホルモンとも呼ばれます)は血中のグルコース濃度を上昇させる作用があります。
言い方を変えると血糖を下げる役割のあるインスリンの作用に拮抗していることになります。
(インスリン拮抗ホルモンという表現もあります)
*血糖上昇=インリン(血糖を下げる)に対して拮抗
これによってインスリンの絶対的な不足を生じます。
そうすると
→飢餓状態と勘違いする(グルコースがない状態と体が錯覚する)
→エネルギー源としてグルコースを利用できない→脂肪酸を変わりに使ってエネルギーを産生
→分解産物としてケトン体が蓄積する→ケトン体の量が処理能力を超える
→血中・尿中ケトンの増加→代謝性アシドーシス(ケトーシスとも言う)になる
■ケトアシでよく見かけるクスマウル呼吸とは?
DKAについて調べてみるとクスマウル呼吸というワードが出てきます。
クスマウル呼吸とは深く早い呼吸が持続する異常呼吸の1つです。
なぜこのような呼吸が現れるかというと?
- 血液が酸性に傾く(アシドーシス)
- 体内の酸を体から外に出して血液のpHを酸性から適正値(pH:7.4)に戻そうとする
- 手取り早く体内から排出できる酸は二酸化炭素(CO2)
- 呼吸を早く深くして換気量を増やす
- 二酸化炭素分圧(PCO2)が低下することでpHが適正に戻る(代償反応)
*換気量が増えると肺胞でのガス交換が促進されて二酸化炭素が捌ける(過去記事参照)
つまりクスマウル呼吸はアシドーシスに対する代償反応だったということです♪
ケトアシではなぜ脱水になる??
ケトアシを調べているとこれまら”浸透圧利尿”という聞きなれないワードが出てきます。
調べていくとわからない単語が出てきて永遠と調べるループに陥ってしまう・・・
血中のグルコース濃度が上昇(高血糖)すると、尿細管の浸透圧が上昇します。
当然ながら尿は血液をもとにして作られます。
それを担当しているのはご存知の通り腎臓です。
簡単にいうと尿は血液を腎臓で濾過することで作られます。
尿細管は尿を作るための通り道です。
イメージとしてはこんな感じです。
糸球体から左右に伸びる管は血管(輸入・輸出細動脈)です。
糸球体に流れ込んだ血液は濾過されて、尿のもとになる原尿ができます。
この原尿が直接尿として出るわけではなく
尿細管を通っていく間に、体にとって必要な成分は血液側に戻ったり(再吸収)して最終的な尿となります。
通常は尿やグルコースは大部分が血液に再吸収(戻る)され、ごく少量が尿として排泄されます。
原尿に含まれるグルコースも増加します。
グルコースはナトリウムやアルブミンなどと同様に水を引きつける作用があります。
つまり浸透圧を上げる作用です。
原尿にグルコースが多く含まれると当然水を引きつけるため、血中に戻れなくなってしまいます。
そのため通常であれば再吸収されるはずの水が尿に残るため
尿量が増加します。
これが浸透圧利尿の正体です(実際にはナトリウムの再吸収も低下します)。
高血糖状態になると尿がドバーッと排泄されるため高度の脱水になります。
そのため心拍数が増加したり、循環血液量が低下することにより循環動態が不安定になったりもします。
ちなみに
利尿剤の1つであるマンニトールはこの浸透圧利尿を利用して利尿作用を発揮しています♪
治療についてはあまり触れませんが、インスリン投与と脱水補正が重要になります。
その際、低カリウム血症には要注意ですね♪
ん??と思った方は以前の記事を参考にしてください。
まとめ
皆様ご理解いただけましたでしょうか?!
本日は糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)についてお話しました。
ちなみに・・
2型糖尿病(特に高齢者)の方はHHS(高浸透圧性高血糖状態)になりやすいと言われています。
興味があったら調べてみてくださいん♪
それでは歯磨いて寝ろよ!
by看護師と〜ちゃん