ICUに重症患者が入室!まず考えるべき4つのこと。
皆様こんにちこんばんは!
自宅でカブトムシを育てていると〜ちゃんです!w
私ごとですが、数日後に上高地に旅行に行って参りまーす!
体を動かすことが大好きなと〜ちゃんですが、家族は道連れでございます。
3歳の息子を抱っこすることを覚悟でのトレッキング ですw
今回の旅行はGotoトラベルを使っての旅行です。(マジでお得!!)
これについての詳細は今後記事に書いてみようと思います^^
興味のある方はお待ちください♪
さて、今日の内容はICUに患者さんが入室した時に考えることです。
言葉を置き換えるとICU settingとも言われます。
基本的には医師が考えていることだとは思いますが、24時間ベッドサイドにいる看護師が知っていることで患者へのメリットは大!だと思います。
では早速いきましょう!
<今日の内容>
ICUに患者が入室!ルチンで考える合併症予防
さて、具体的な臨床場面を上げて考えていきましょう。
【患者情報】*仮想です
■はてな太郎(68・男性)
■入院時疾患:市中肺炎
■経過
発熱、呼吸困難を主訴に呼吸器内科病棟に入院した男性。抗菌薬にて治療を開始していたが、夜間呼吸困難が増大し、呼吸回数の上昇、SpO2および意識レベルが低下し人工呼吸器管理目的にICUへ入室となった。ICU入室後に気管挿管を行い人工呼吸器管理を開始した。
(血液ガス分析:2型呼吸不全と分類)
■背景
・身長:172cm 体重:82kg
・生活歴:ADL/IADL自立、妻と2人暮らし、息子が1人いるが遠方圏に在住
・既往歴:2型糖尿病 高血圧
■既存のデバイス
・末梢静脈路24G、20G
この患者さんを元に一緒に考えていましょう。
臨床で働いている看護師って、ペーパーでも患者情報が出ると燃えません?w
病院の研修でもそうで、事例が出ると研修生のやる気が変わるんですよぇ。
それはさておいて、ICUで人工呼吸器(MV:medical ventilatorとします)開始後の状態から考えます。まず、ICUに入室して考えるべきことはこちらです。
個人的にはここが重要だと思います。
その中でも重要な合併症予防から説明します。
デバイス関連感染症
これについては、普段の受け持ち業務でも重要ですが「必要なデバイスと不要なデバイス」を考えることです。
デバイスとは末梢静脈ラインやCVC、尿道カテーテルなどですね。
ICUでは特に漫然にこれらのデバイスが留置されることが多いです。
なぜ必要でないデバイスが留置されることがダメなのかというと、医療デバイス感染症のリスクがあるからです。
例えば、CAUTI(カテーテル関連尿路感染症)は尿道カテーテルの長期留置に深く関連します。そしてCAUTIは患者の死亡率や入院コスト等にも関連しているので、患者-病院双方にとって良くない合併症です。
さらには末梢静脈ラインに関してですが、CVCが留置されている状態で何本も留置されている(輸液1本なのにCVCとか)のを見かけます。これも血流感染の元になります。
集中治療室や重症患者では「炎症」との戦いでもあります。
入室時や日々のアセスメントを通して不要・必要を判断してデバイス整理するのはとっても大事なお仕事です♪
このケースの場合、鎮静・鎮痛やカテコラミン等の薬剤を使用する可能性があるため、CVCを留置する可能性が高いです。
そうすると末梢静脈が2本留置されているうちの24Gは不要と考えられます。
20Gに関しては、ショック時の急速輸液や輸血用として使用する可能性があるので、残しておいてもよいと思います。
特に、急速輸液に関してはCVCよりも太く短いルートの方が有利とされています。
この理由は「ハーゲン・ポアズイユの法則」という流体力学の考え方から言えます。
簡単に言うと円形のルートに流体(液体)を流す時は、太い経(これが一番影響する)で短いルートを選択すると、流体の流れる速度が早くなる。というものです。
これはECMOにも応用されている考え方です(これは今度説明します♪)
尿道カテーテルに関してはin-outバランスを計測する必要があるので尿道カテーテルは適正使用と言えます。
特に呼吸不全の患者さんのin-outバランスとしては、ショックがなければ比較的ドライに管理する必要があります。
あとは血液ガス評価のために、Aラインは必須なので留置されるでしょう。
DVT(深部静脈血栓症予防)予防
次にDVT予防です。
施設による違いもあると思いますが、出血性疾患の病態がなければ未分画ヘパリンの投与が選択されると思います。あるいはフットポンプが多いでしょうか。
DVTの原因は様々ですが有名なVirchowの3徴としては・・
- 血液凝固能の亢進(過凝固状態)
- 血流のうっ滞
- 血管内皮障害
血流のうっ滞は、運動をしなくなるので下肢の筋ポンプが働かなくなります。そうすると、下肢の血流がうっ滞します。
フットポンプはこの要因に対する対策ですね。
血管内皮細胞とは血管の内側を構成する細胞です。カテーテル留置などの機械的な要因や炎症などによっても障害を受けます。
集中治療領域でかなり重要なワードと言えます。
ストレス潰瘍予防
重症患者のストレス潰瘍は消化管の出血、穿孔のリスクがあるため予防が重要です。
様々な要因があると言われていますが、消化管粘膜の血流低下が重要な要素だと思います。
この患者にもPPI(プロトンポンプ阻害薬)をはじめとする薬剤を投与するでしょう。
VAP(人工呼吸器関連肺炎)
VAPは人工呼吸器装着後、48時間移行に新たに発生した肺炎で、人工気道に関連した院内肺炎です。予防に関しては、VAPバンドルが推奨されていますが、内容は国によって異なるのが現状です。本邦のバンドルでは・・
- 仰臥位で管理ない
- 手指衛生の徹底
- 回路交換を頻繁にしない
- 過鎮静を避ける
- 人工呼吸器からの離脱を毎日評価する
バンドルというのは、これを1セットで実施するということです。
実際には一つひとつの項目のエビデンスは明確でないんですが、この項目が現状では推奨されています。(2010年;改訂版人工呼吸器関連肺炎予防バンドル)
長期の人工呼吸器使用で生じる晩期VAPでは、MRSAなどの耐性菌が起因菌となることが多いので厄介な合併症になります。
合併症対策はこのような感じです。重症な患者さんは合併症が命取りになることがあります。
看護師もこれらの項目をチェックする必要がありますね♪
リハビリ・栄養管理
これは患者が回復していくために必要な要素です。
リハビリに関しては、プロトコル化されている施設もあると思いますが、入室から48時間以内から始めるのがベストだと思います。
そしてリハビリと1セットで考えるべきは栄養です。
そう。運動と栄養は関連づけて考えるべき項目です。
特に栄養管理では腸管の使用が重要だと言われています。
呼吸不全は、炎症や呼吸仕事量の増大に伴って安静時の消費カロリーは相当なものになっています。
代謝としては異化(分解)が亢進し、筋肉はどんどん分解されていきます。(マラスムス)
どのくらい?
というのは明確なコンセンサスがないのが現状ですが、Over Feeding(栄養過剰)は避ける必要があります。
異化が亢進しているということは、逆に言えば内因性の栄養を供給(自分の身を削って自分自身に栄養を供給)しているという状態なので、少ない量から始めていくことが無難です。(超急性期は腸管を使用するという程度で捉えて良いと思います)
注意すべきはこの患者さんは、主病態が2型呼吸不全だということです。
糖質の積極的投与は二酸化炭素の産生を促す(呼吸商の関係)ため、最も二酸化炭素産生量が少ない(=呼吸商が低い)脂質優位にする必要があります。
栄養は本当に奥が深いですね・・
ICUの退出目標
これは重要な視点で、医師がどのくらいの期間を目標に退出を考えているか or どのような状態になればICUを退出できるかを共有するというものです。
ゴールが決まってなければ、計画的にケアができません。
例えばこの患者では、早期に人工呼吸器を離脱したいと考えるとします。
そのために看護師にできることは、廃用を防ぐために床上リハビリ(ROM ex)を実施することや離床ができるタイミングを相談すること。(端座位が取れれば下側の無気肺予防にもなります)
そして、栄養と言えば消化の管理(排便管理など)も重要ですね♪
また、離床していくためには鎮静を浅くする or 日中offすることも必要です。さらには鎮静を浅くするためには鎮痛のコントロールがまず必要です。
鎮痛・鎮静・離床・栄養が揃えばせん妄の対策にもなってきます。
などなど、、、他にも家族のサポートだったり・・・語り尽くせない部分もありますが基本的にはこのような部分をアセスメントすることが大事だと思います。
それは医者の仕事ではなくて、看護師も主体的に関わっていくべきです。
どの職種がやるか?ではなく誰がやるかだと思います。
つまり分かっている人、できる人がやることが重要なんです。
ICUに来たての人には少し難しく感じる部分もありますが、1年後にはきっと当たり前のように考えることできると思います。では今日のまとめとポイントです。
まとめ
重症患者が入室した時に考えるべきことは・・
この4つです。
集中治療では退出目標を決めた上で、合併症を最小限に抑えて回復に向けた支援をしていくことが大事です。チーム医療として看護師も主体的に関わっていきましょう♪
では、歯磨いて寝ろよ!
by看護師と〜ちゃん