かんごし父ちゃんのナース駆け込み寺!

このブログは認定看護師として集中治療室で勤務するかんごし父ちゃんが、困ったナースや看護学生が気軽に学べる内容の情報や2児のパパとして育児に奮闘する日記をゆる〜く描いたブログです。

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集中治療室で新型コロナ患者を受け入れた看護師の”今年”の回想

皆様こんにちこんばんは!

 

長かったようで短かった今年も終わります・・

 

皆様にとって今年はどのような年になりましたでしょうか??

 

今年は新型コロナウィルスの流行によって

 

世の中が一変しました。

 

と〜ちゃんも集中治療室で働く看護師として働くなかで

 

仲間の,自分の,そして家族の命に危険が迫るという思いを

 

医療現場で初めて感じました。

 

今回は

 

"率直な気持ち"

 

"医療現場の実際"

 

について

 

回想しながらただただ綴っていきたいと思います。

 

 

 

 

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”今でも忘れない3月”

 

何が正しくて間違っているか分からない状況のなか

 

夜勤で1人の新型コロナウィルスによる肺炎の患者さんを受け入れた。

 

防護用具を全身に身にまとい

 

入室を待つ23:30だった。

 

主任として自ら受け入れを希望し

 

自分が受け持っている患者さんを他の看護師に引き継ぎをした。

 

スタッフと談笑しながら入室を待っていたが

 

とても緊張して不安だったのが正直な気持ちだった。

 

ただ

 

入室した患者さんの「苦しくて緊張した面持ちの表情」を見た瞬間に

 

いつものスイッチが入って,そこからは冷静に対応できたのを鮮明に覚えている。

 

その他にも

 

新型コロナウィルスによる重症肺炎から回復して人工呼吸器をつけながら初めて座った患者さんの

 

ピースをしている姿を部屋越しに見たこと。

 

回復の見込みがなくなり, 危篤の状態となった患者さんに対して

 

家族がガラス越しにマイクで「がんばったね」と声をかけた瞬間も目にした。

 

そして亡くなった瞬間に,袋に入れられて

 

顔を見ることもできず

 

亡くなった事実をただ伝え聞いた家族の泣いている姿も見た。

 

人工呼吸器の適応を伝えられたが,気管挿管をせずに苦痛の緩和を行う選択をした男性

 

窓のない個室で夜な夜な頻繁にナースコールを押し,ただ一人その時を待つ

 

彼は囚人ではない。

 

病を抱えるだけの善良な一般市民だ。

 

夜勤の時には暗い個室で若い時の話を聞かせてくれた。

 

 

そして

 

コロナ患者を見送ったあと陰圧個室の消毒のためにモップがけをしているなか

 

次の入室依頼がくる

 

今は"夜中の3時"だ

 

看護師になって夜中に部屋の消毒作業をするなんて夢にも思わなかった。

 

 

 

今も変わらず大変だけど

 

当時は医療従事者も本当に不安な状況のなかで仕事をしていた。

 

”家族が罹患したらどうしよう”

 

”自分が罹患したらどうしよう”

 

”仲間が罹患したらどうしよう”

 

仕事が終わり,病院のシャワー室で体をきれいにして

 

少しでも不安要素を減らして保育園に我が子を迎えいに行く。

 

これは紛れもない事実だ。

 

ストレスなく仕事をしていたとは言えない。

 

ただ,今はこのような闇を彷徨うような気持ちとは違う。

 

今ではCOVID-19に関するマニュアルが整備され

 

一般診療も一部制限して医療従事者の負担軽減や院内感染を防ぐための基盤ができたからだ。

 

感染対策のスペシャリストが本当に素晴らしい仕事をしてくれている。

 

ただし

 

これは病院の方針によって大きく環境が異なる。

 

日本,いや世界には未だ闇を彷徨うような気持ちの医療従事者はたくさんいるだろう。

 

しかしながら

 

医療従事者にとって

 

患者さんが元気になってくれることはモチベーションにつながる。

 

医療現場では日夜ストレスを抱えながら

 

患者さんにとって”何が善になるか”

 

考えながら治療やケアにあたっている医療従事者がいる。

 

”今は寝ているから起こさないほうが良い”

 

”寝ているけれども痰を吸引する処置を行う必要性がある”

 

”全身がだるいかもしれないがリハビリをしないと社会復帰ができないから頑張ってもらう”

 

”今後の見通しが悪い状況が予想されるから,早めに家族との時間がとれるように医師と調整しよう”

 

など医療従事者として日々葛藤しながら患者さんとその家族の”善になる”ことを考えている。

 

その中でも

 

スタッフ間で他愛もない冗談を言いながら笑って仕事をしている。

 

忙しくて不機嫌になるスタッフもいる。

 

どれもが紛れもない事実だ。

 

正直

 

コロナが流行らなければ”看護師”としての仕事を

 

ここまで振り返ることもなかったと思う。

 

今だからこそ言える

 

子供に親(自分)の仕事を誇りを持って伝えられる。

 

別に子供に看護師になって欲しいとも思わない。

 

ただ一人の人間としてこのような経験,思いをしながら看護師の仕事をしたという事実を伝えたい。

 

それだけだ。

 

 

 

これからも

 

"看護師として"の戦い

 

"患者として"の戦い

 

"大切な人が病を持つ家族として"の戦い

 

これは長く続と思う。

 

しかし

 

日本人が持つ生真面目さ

 

そして医療従事者としての専門性,誇りを持ちながら

 

この難局に立ち向かっていきたいと切に思う。

 

 

 

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たった1つのウィルスによって

 

世界が一変した。

 

多くの人が不安に苛まれ

 

涙し

 

落胆した。

 

それと同時に

 

この厳しい状況だからこそ医療従事者として奮い立たせてくれている。

 

こんなことには負けない。

 

がむしゃらかもしれないが

 

希望と活力を胸に

 

みんなで乗り越えていきたい。

 

そして今現在

 

病と闘っている患者さんとそのご家族

 

不安を抱えながら仕事をしているヒト

 

不安のなか家族を職場に見送って家庭を守ってくれているヒト

 

不安な親を笑顔にしてくれる子供たち

 

日夜のシフトをこなしている医療従事者

 

2021年も

 

全てのヒトにとって良き年となりますように。

 

 

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2020年12月31日

看護師と〜ちゃん