今学び直す!腹部のフィジカルアセスメント(聴診・触診編)
皆様こんにちこんばんは!
夜勤前に記事を書いている看護師と〜ちゃんです!
本日は以前の記事の続編です。
今日の内容は腹部の聴診と触診です。
腹部の聴診ってしっかりとした教育を受けたことはありますか?
意外に見様見真似,あるいはOJT(On the job training)で学んだという方が多いのではないでしょうか。
以前の記事にも記載しましたが
腹部のフィジカルは
腹膜炎を鑑別する上でめっちゃ重要です。
ということで
改めて一緒に学習していきましょう!
<本日の内容>
お腹の聴診は1箇所で聴くべし!!
皆様は腹部の聴診は何箇所聴いていますか??
胸部の聴診であれば左右の対称性を確認しながら全体を聴診していくと思います。
しかしながら腹部の聴診はどうでしょう?
結論としてはどこか1箇所で問題ないです。
なぜならば
腸管は一続きになっていて
さらには一つの部屋(腹腔内)に収まっているからです。
肺は同じ胸腔内にありますが、気管支が無数に走行しているため
閉塞の場所によって限局して障害される可能性があります。
つまり左右差が生じます。
一方で腸の蠕動音は腹腔内に反響しますから
腸閉塞を生じた場合に
聴診でここが閉塞起点だ!
と予想するのは恐らく困難でしょう。
なので1箇所で問題ないという結論になります。
聴診で重要なのは
- 腸管の蠕動が低下 or 消失していないか(麻痺性イレウスの鑑別)
- 金属音は聴取しないか(腸閉塞)
この2点です。
まず蠕動の低下と消失の定義(亢進も)はあるのでしょうか。
これは覚えるしかありませんが
- 低下:30秒以上聴診しても蠕動音が聞こえない
- 消失:2分以上聴診しても蠕動音が聞こえない
- 亢進:5〜15秒で蠕動音を聴取する
これで覚えましょう。
これを見て
消失は2分以上かけないと判断できないんだ!
と思った方もいるでしょう。
自分も初めて学んだ時に思いました^^;
ちなみに消失している場合には麻痺性イレウスが考えられます。
金属音(metalic sounds)が聴かれれば腸閉塞を疑います。
蠕動が亢進し腹痛(特に間欠的な腹痛)と腹部膨満をきたしていれば
腸閉塞を疑います。
あれ??
腸閉塞って蠕動が低下するんじゃないの?
と思った方は
前回の腸閉塞とイレウスの違いについて確認してください
腸閉塞は腸管の通過障害がある状態なので
腸管は正常な状態に戻そうと
かえって腸蠕動が亢進します。
ちなみに金属音(甲高い音)は
腸管が狭窄している状態で
狭窄部位を腸液や内容物が通過する際に発生する音だと古典的に言われています。
腹部はパート(区分)を分けて考えよう。
触診に行く前に腹部の区分を明確にしましょう。
例えば腹部に圧痛を認めている場合に
どこの部位に圧痛があるのかを明確にする必要があるからです。
まずは4区分法です。
これはとても簡単ですね。
臍を中心に
①右上腹部 ②左上腹部 ③右下腹部 ④左下腹部
に分けます。
消化器系でなければ単純なのでこれでOKだと思います。
もう少し詳しい分け方としては
9区分法があります。
これを覚えるのは少し時間がかかると思いますが
より詳細に分けることで
臓器特異的な情報を得ることができます。
例えば右季肋部を触診して圧痛を認めれば急性胆嚢炎の可能性が考えられます。
(マーフィー兆候:感度65%. 特異度87%)
心窩部であれば心臓や胃
という具合に詳細にすれば情報の精度は上がります。
余裕がある方は9区分法にチャレンジしてみてくださいね♪
触診をする上で重要なのは、事前の問診だ!
今更ですが腹部のフィジカルイグザミネーションを実施する順番としては
視診→聴診→打診→触診
になります。
この順番には理由があります。
問診が重要というお題にもつながりますが
腹部に痛みを生じている場合
先に触診や打診などの所見をとると
それが刺激(侵襲)になって
蠕動の亢進など
所見に影響を与えることにつながります。
よって
侵襲が少ない順番から見ていくということになります。
お題でもある問診ですが
これは事前に痛みの有無や場所を把握することで
その部位の診察を最後にすることができます。
なので患者さんの身体所見を取る前に
「どこか痛いところはありますか?」
「どこがどのように痛みますか?」
などの質問(問診)をすることが重要になります。
その痛みって腹膜炎??
腹膜炎を示唆する所見を
腹膜刺激症状と言います。
触診は
最初は浅く撫でるように腹部を触診していきます。
この際に
患者さんが痛みを自覚して
圧痛がある部位を触診した時に意識的に腹筋に力を入れることがあります。
これを筋性防御と呼びます。
腹膜刺激症状の1つです。
次に深い触診では
このように 指を立てるようにグーっと自分の指を腹部に沈ませていきます。
その際に押した時よりも離した時に痛みを生じることがあります。
これを反跳痛(Blumberg兆候)と言います。
筋性防御と反跳痛はどちらも腹膜炎を示唆する
腹膜刺激症状です。
これ2つは覚えておくと良いと思います。
まとめ
- 腹部の聴診は1箇所で行う
- 腹部の区分は4区分または9区分に分ける
- 所見を取る前に痛みの有無を確認する
- 腹膜刺激症状は筋性防御と反跳痛を覚えておく
以上参考になれば幸いです!
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では歯磨いて寝ろよ!
by看護師と〜ちゃん