“はじめから”学ぶ呼吸のフィジカルアセスメント
皆様こんにちこんばんは!
今日の話は呼吸のフィジカルアセスメントです。
フィジカルアセスメントについてはこれまでに循環や腹部を取り上げました。
COVID-19の患者さんが増えるなか、様々な医療・介護現場で呼吸のアセスメントの重要性が増していると感じています。
しかしながら現場では見よう見まねで学ぶことが多いのも事実です。
なので人によって言うことや表現が違うから何が正解か分からない!
と思っている方も多いのではないでしょうか。
ということで今日は呼吸のフィジカルアセスメントについてはじめから勉強していきましょう^ ^
【今日の内容】
視診は聴診より重要だ!
呼吸のフィジカルというと何をイメージしますか??
恐らく聴診器を使ってカッコよく聴診する姿をイメージした方が多いのではないでしょうか。
確かに聴診はたくさんの情報が得られるので重要です。
しかし!実は視診こそ情報の宝庫です。
特に急変に気づくための技術としても重要です。
例えば患者さんを見て苦しそう!とか具合悪そう!急変してるかも!
と感じた経験ってないですか?
これは第一印象とも呼びますが、つまりは視診で患者さんの状態を評価しているのと同じなのです。
■顔色
■表情
■呼吸の仕方
■姿勢
■言動
体系的にフィジカルアセスメントを学んでない方も実は瞬時に上記のような所見を評価しているのだと思います。
しかし我々はプロの看護師です。
なんとなくではなく明確にそして意図的にこれらの情報を取りにいくことが必要です。
加えて記録や報告をする必要があります。
つまり情報を言語化することまで求められます。
まずは呼吸に関する視診の項目を解説していきます。
努力呼吸の正体
呼吸回数については以前の記事を参照してください。
呼吸回数として大事なことは1分間測定することです。
しかし忙しくてどうしても落ち着いて測定できないこともあると思います。
その時には患者さんの呼吸に合わせて自分も呼吸してみると良いと思います。
そうすると呼吸が早いあるいは遅いということが体感できるので個人的に研修などでオススメしています。(患者さんと自分の呼吸を同期する)
呼吸様式については努力呼吸のポイントを抑えることが大事です。
皆様
今から100mを本気でダッシュして下さい!
・・・・。はい。
簡単に言うとダッシュした後の呼吸が努力呼吸です。笑
つまり酸素需要の急激な増加によって平常時の呼吸筋(主に横隔膜)では足りずに補助呼吸筋を動員することで換気量を増やします。
その結果現れるのが努力呼吸の正体です。
患者さんの場合はダッシュではなく呼吸不全などの病態によって酸素需要が増加します。
努力呼吸の1つである肩呼吸を例にあげましょう。
肩呼吸は補助呼吸筋である胸鎖乳突筋や斜角筋、僧帽筋が使用されることによって生じます。
- 僧帽筋は背中の筋肉
- 胸鎖乳突筋や斜角筋は首の筋肉
特に首の筋肉の使用は顕著に現れます。
ICUに院内急変として呼吸不全やショックの患者さんが入室します。
そのような状態の患者さんは大抵呼吸回数が増加し、首の筋肉が筋張った肩呼吸をしています。
努力呼吸とは別に姿勢も重要です。
ダッシュした後に仰臥位でいろと言われても辛いですよね?
そして自然と座位になると思います。
これは座位をとることで横隔膜が下がり機能的残気量(FRC)が増加するのでガス交換が有利になるからです。
なので意識障害がなければ呼吸困難を自覚している人は自然と座位の姿勢をとることがほとんどです。
呼吸の聴診
聴診器の正しい持ち方、低音域や高音域の使い分けはご存知ですか?
もし分からなければ以前解説しているので先に確認してください。
よく臨床で気になるのは副雑音(いわいる肺雑)の表現の仕方です。
人によってはヒュー音やグー音などと表現しているのを見かけます。
正しくは下記の表を参照して下さい。
副雑音は3STEPで考える
副雑音が聴取された場合は表をもとに3つのSTEPで判断します。
今回は父ちゃん流のプロトコルを作ってみました!
断続音とは音がブツブツなどと途切れるかどうかを意味します。
連続音とは音がグーなどと途切れない音を意味します。
この表は私見です^^;
断続音の鑑別
断続音は以下の2つに分かれます
- 捻髪音(ファインクラックル)
- 水泡音(コースクラックル)
正直この鑑別は難しいです。。
捻髪音は教科書的に髪を捻る音という表現が多いですが、実際にはパリパリッと細かい乾いた音が鳴るような印象です。
なので音の性質で鑑別するとウェットかドライかという視点が個人的は分かりやすいと思います。
最も分かりやすいのは音の鳴るタイミングです。
捻髪音は硬い(繊維化など)肺胞が正常肺に遅れる形で開いた時に発生する音です。
なので吸気時の終わり(吸気終末)に聴取されます。
これに対して水泡音は吸気・呼気どちらでも聴取されます。
次に解説する連続音もそうですが音の発生するタイミングは重要です。
連続音のポイント
連続音の1つである類鼾音(るいかんおん・ロンカイ)はグーッといういびきのような音なので一発で分かります。
もう一方の笛声音(てきせいおん・ウィーズ)は高い音が鳴ります。
ちなみに笛声音は呼気になります。
吸気時の高い連続音は上気道閉鎖を疑うstrider(ストライダー)になります。
ストライダーは抜管後に大事なポイントですね♪
しっかり頚部に聴診器を当てて聴取しましょう。
まとめ
- 視診は急変を気づく上で重要
- 聴診は3STEPで考えよう
打診についてはあえて避けました。
次回は副雑音と視診の解釈を考えていこうと思います。
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では歯磨いて寝ろよ!
by かんごし父ちゃん