これで解決!IABPの離脱時の注意点!
皆様こんにちこんばんは!
最近「記事を書く」ということが生活の一部になってきた看護師と〜ちゃんです!
少しづつではありますが、当ブログにアクセスして頂いているのが分かって純粋に嬉しいですしモチベーションになっています。
皆様ありがとうございます!
ということで、今回のお話は「IABPの離脱時の注意点」という内容です。
なぜいきなり離脱時から!?という点についてはじめに説明します。
皆様はこんな経験があったりしませんか?
IABP離脱後に患者さんが急変!足が動かない!色がおかしい!などなど・・
実際、臨床でIABPのトラブルが生じやすいのは離脱時と離脱後です。
ICU経験が少ないナースにとって、IABP離脱後に合併症が起きた時は「ここは見てなかったの?!」「いつからこうなってるの?!」などと、その場から自宅へ瞬間移動したくなるものです。w
実際にと〜ちゃんも、離脱後に合併症を生じて自分もショックになりかけた経験がありますw
IABPって駆動している間って比較的トラブルは少ないものです。
どちらかというと、抜去時・離脱後の方がトラブルを生じや空いため、ナースの観察が重要です。
今回の記事を読むことで、、
- 離脱後の合併症やトラブルを予測しながら観察ができるようになります
- 安心してIABPの離脱の介助ができるようになります
- 合併症が起きてもドロンせずに済みます(嘘です)
IABPの離脱基準ってあるの?
IABPを離脱するぞ!となったということは、IABPのサポートが不要となったということです。一般的な離脱基準(施設やケースによって変わります)を示します。
これはあくまで目安です。離脱に際し一番重要なことは、IABPを挿入するきっかけとなった主病態が改善傾向にあるということです。
基準!というと堅苦しくてイメージしづらいと思うので、簡単にIABPのメリットを説明しながら解説していきます。(結局喋るんかい!w)
IABPの効果から見る離脱後の注意点
IABPは何をサポートするかというと、もちろん「循環の補助」をしています。
具体的にIABPの効果を上げると、、
- 冠動脈の血流増加:ダイアストリック(拡張期)オーグメンテーション
- 心仕事量の軽減:シストリック(収縮期)アンローディング
この2つになります。
この二大効果を本当にざっくりにいうと、、
- 心臓の拡張期にバルーンを拡張させる→結果的に冠動脈の血流が増加する
- 心臓の収縮期に膨らませてたバルーンを一気にしぼませる→心臓が楽に血液を拍出できる
このようになります。
「心臓を栄養する冠動脈の血流を増やして、さらに心臓の負担を軽減してくれる」
まさに、心不全や虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)の患者さんにとって神的な存在ですな。
念のため冠動脈について基本事項を解説しておきます。
心臓の栄養血管である「冠動脈(コロナリー)」はちょうど紫色の○で囲んだ部分に当たるバルサル洞という上行大動脈の起始部(付け根)からニョキっと走行しています。
冠動脈への血流って心臓の収縮期と拡張期のどちらの時に多く流れていると思います??
答えは拡張期なんですね。
心臓って筋肉の塊で、この筋肉(心筋)が収縮したり弛緩することで心臓の拍動が生まれます。冠動脈は心臓の図を見てもらうと分かる通り、心臓をぐるっと取り囲んで張り付いています。さらに、心臓の内部に向かって血管が走行しています。
心臓が収縮するというのは当然筋肉がギュン!と収縮していますよね?そうすると、血管がキュッと押されるような形になってうまく血液が還流しないんです。
一方で、拡張期は筋肉は弛緩しているので血液が還流しやすいんです。
なので、心臓の拡張期圧が低いと冠動脈への血流(冠血流)にとっては不利になります。
その点、IABPは拡張期圧を上げてくれるので冠動脈の血流を増やしてくれる訳です。
さて、二大効果は冠動脈の血流を増やすことと心臓の負担を減らしてくれることでしたね。
基本的にはこれらがIABPを離脱しても耐えられる!という前提のもとIABPを抜去します。
しかし、実際にはIABPを離脱した後に心拍出量が減って再び①低心拍出量症候群(Low output Syndrome:LOS)の状態になったり、冠血流量が減少して②ST変化が現れたり不整脈が出現したりします。
つまり、IABPの効果そのものを理解しておけば、離脱後の注意点も理解することができますね♪
①低心拍出量症候群(Low output Syndrome:LOS)
臨床ではロスと言われることが多いです。
具体的な症状としては、末梢が冷たくなったり尿量が減少したり(低還流所見)します。
IABPの離脱基準で尿量≧30mlがありましたよね?
心拍出量(CO)が減少すると、当然臓器血流が低下します。そうすると尿量が減少するのは明白です。なので、離脱基準にも尿量が含まれているのです。
また、酸素化が低下したり、胸部の聴診をすると「ブツブツ」(水泡音:coarse crackles)とか「呼気でヒューヒュー」(笛声音:Wheezes)と聴取されたり(うっ血所見)します。
②心電図変化と不整脈
心電図変化の中で、虚血の状態を反映するのはST部分です。特にST上昇はピンときますが、ST低下にはノーマークということもあるので要注意ですね。
また、注意すべき不整脈は心室性の不整脈です。致死性不整脈である心室頻拍(VT)には注意が必要です。加えて、心室性期外収縮(PVC)にも注意が必要です。具体的には明らかにPVCの頻度が増加している場合や、色々な形のPVCが見られる場合(多源性)です。色々な形が出ているということは、心室の中でアチコチで期外収縮を生じているので、VTやVFに移行する可能性が高いとされています。
離脱後に足の色が悪い!足が動かない!
このような経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか?
IABPは生体にとっては異物です。血液というのはこうしたカテーテルをはじめとする異物と接触することでその表面に血栓を作ります。
IABPが留置されている患者さんの血液検査データを見てください。血小板数が正常と比較して低下していると思います。これは血栓を作るために血小板が消費されている証拠でもあります。
例えば、IABPの表面に血栓が付着していたらどうでしょう?
抜いた拍子に付着していた血栓がカテーテルから剥がれて、血栓が末梢の動脈にピョーン!と飛んでいったとしたら・・・
動脈の血流は中枢→末梢でしたよね?
そうすると大腿動脈〜足先の動脈のどこかが閉塞することになります。
これによって動脈の血流は遮断され、チアノーゼ などの色調の変化や末梢冷感、足先の痺れや運動障害が生じます。
これを早期に気付くためには?
そうです。ドップラー(超音波機器)や触診(皮膚温や末梢動脈触知)をすれば異常に気づけるはずです!また、新たに生じた痛みや痺れを問診すれば良いのです。
抜去前にIABPの画面にご注目
最後になりますが、IABPの画面(波形)に注目して終わりにしたいと思います。
IABPを離脱しても大丈夫かな??ということをモニタリング画面で評価することもできます。
下の図を見てください。IABP駆動時の動脈圧波形を表しています。
通常の動脈圧波形であれば、自己の収縮期圧の後にディクロティックノッチの後に拡張期に移行しなだらかに下降していきます。
IABPが駆動している場合は、拡張期に合わせてバルンを拡張させるので、こうした二峰性の動脈圧波形となります。
通常IABP留置が必要な患者さんは、循環動態が不良な状態です(血圧が低い)。そのため上の図のように自己の収縮期圧とバルンが拡張した際の圧波形のギャップが大きい状態となります。
一方で、病態のコントロールがついて循環動態が改善すると・・
このように自己圧とIABPの拡張期圧のギャップが少なくなっていることが分かります。
つまり、担当の医師から今日IABPを離脱から準備しておいてねー。と言われた時は波形を動脈圧波形チェックしましょう。
自己圧とのギャップがかなり大きい場合は、離脱後に循環動態が崩れる可能性が高いと考えられます。基本的にこの状態では抜去しないと思いますが・・
これはあまり教科書に載っていない内容だと思います。
頭の片隅に入れておくと良いですね♪
ということで、今日の内容はいかがだったでしょうか?