かんごし父ちゃんのナース駆け込み寺!

このブログは認定看護師として集中治療室で勤務するかんごし父ちゃんが、困ったナースや看護学生が気軽に学べる内容の情報や2児のパパとして育児に奮闘する日記をゆる〜く描いたブログです。

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カヌラ?リザーバー?! 酸素療法を"1"から学んでみよう!

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皆様こんにちこんばんは!かんごし父ちゃんです。

 

それっぽく見えるようにサムネイルを作ってみました(ドヤ)

 

今は便利でコストフリーのサービスがいっぱいあるんですねぇ。

 

ちなみに前回の記事で紹介しそびれた”翻訳アプリ(サイト)”を紹介します。

 

nurse-daddy.hatenablog.com

 

父ちゃんがいつも使っているのはDeep Lという翻訳サイトです。

(https://www.deepl.com/translator)

 

PC・スマホでもどちらでも使えます。

 

Google翻訳もありますがDeep Lの方がキレイな日本語になるような気がします。

 

この辺のサービスはAIが組み込まれているので使えば使うほど正確になりそうです。

 

さて今回のお話は酸素療法に関する内容です。

 

 先日Twitterでこんな質問をいただきました。

 

「リザーバー付マスクとインスピロンの使い分けを教えて下さい」

 

酸素の投与量やデバイスは医師の指示に基づいて決定すると思います。

 

ついつい臨床では酸素を投与してSpO2が上がれば良し!と思ってしまいます。^ ^;

 

酸素のデバイスにはそれぞれ特徴があります。

 

そして酸素療法を考えるうえでは大事な2つの軸で考えていく必要があります。

 

今更・・と思っている方も今日からでも遅くはありません!

 

一緒に学習していきましょう^^

 

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<今日の内容>

 

酸素療法を構成する2つの要素

酸素療法を考えるうえでは以下の要素を考えることが大事です。

  • 酸素濃度
  • 酸素流量(流速)

 

これを1つずつ解説していきます。

 

酸素濃度

皆様は日常的に吸っている空気(大気)の酸素濃度はご存知ですか??

 

えっ?!全部酸素じゃないの?

 

と思った方もなかにはいるでしょう。

 

父ちゃんも昔はそのように認識してました笑

 

そもそも酸素濃度とは酸素の割合がどのくらいなのかということを意味します。

 

これは難しい言葉でいうと分画とも呼びます。

 

ポイント!

大気に含まれる酸素の割合(酸素濃度)はたったの21%です。

残りの79%はほとんどが窒素です。

(実際には二酸化炭素やアルゴンなども微量に含まれる)

 

では質問です。

 

病院の酸素配管から流れる酸素濃度はどれくらいらでしょう?

 

正解は100%の純酸素です。

 

じゃあ経鼻カヌラもリザーバーマスクも酸素濃度は100%になるの?!

 

と思った方もいるでしょう。

 

流れている酸素の濃度はどちらも100%です。

 

しかし患者さんが実際に吸入した時の酸素濃度は全く異なります。

 

それは次に説明する吸気流速が関係しています。

 

吸気流速

酸素投与をはじめる時に「じゃあ2Lで酸素を始めま〜す」という会話をよくすると思います。

 

このなにげない会話の中に吸気流速のヒントは隠れています。

 

2Lという単位にはもう1つの隠れている要素があります。

 

正確に酸素投与量を表すと2L/min(分)になります。

 

つまり1分間に2Lの酸素が流れるペース(速さ)で酸素を流しているということになります。

 

実は酸素デバイスの酸素濃度を考える時にはこの吸気流速を考慮しなければなりません。

 

健康なヒトの吸気流速(吸うスピード)をご存知でしょうか?

 

1回あたりに吸う量は1秒間に500mlです。

 

これを酸素の投与量の単位であるL/minに直してみます。

 

すると500ml×60秒=30000ml=30Lになります。(30L/min)

 

つまり1分間あたり30Lの速さで吸っていることになります。

 

そうです。

 

酸素2L/minというのはヒトの吸う速さからするとほんの僅かでしかないことが分かります。

 

なので配管から酸素濃度100%の酸素を流していても、カヌラでもマスクでも30l/minには満たないために2Lの酸素以外は大気を吸っていることになります。

 

これがカヌラやマスクの酸素濃度が100%にはならない理由です。

 

ということは患者さんの呼吸努力が強い場合は吸気流速は30L/minよりも早くなるので、同じデバイス・酸素投与量でも酸素濃度は変わるということになります。

 

ポイント!

吸気流速はフローとも呼ばれます。

人工呼吸器のフロー波形(吸気側=基線より上の部分)も同じものを表しています。

例えば人工呼吸器離脱後にHFNCL(ネーザルハイフロー)を使います!と言われた場合にフロー波形を見ればその人の吸気流速が大体数値で分かります。

そうするとHFNCLの初期設定はその数値以上にしておけば吸気流速はカバーできて安定した酸素濃度を提供することができます。

 

低流量システムと高流量システム

先程の話では吸気流速が30L/minが通常だとお示ししました。

 

これが大事で30L/min以上の流量をカバーできるか否かで高流量と低流量システムを分けることができます。

 

ここで問題です。

 

リザーバー付きマスク(RM)はどちらに分類されるでしょう??

 

正解は低流量システムです。

 

RMはリザーバーに溜まった純酸素を吸うことで高濃度の酸素を吸入できます。

 

しかし流量としては10L/minまでになるので30L/minはカバーできません。

 

なので低流量システムに分類されます。

 

大事なのは

  • 酸素濃度
  • 流量(流速)

 

この2軸で考えることです。

 

インスピロンの注意点

インスピロンとはネブライザー式酸素吸入器のことを示してます。

 

インスピロンの場合は流量計としては15L\minまでなので高流量システムとは言えません。

 

しかし回路の工夫によって流量を30L\minに設定することができます。

 

大体はインスピロンのヒーターの裏にのっていますがトータルフローの早見表があります。

 

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インスピロンは酸素流量とダイヤルの開閉度によってフローを調整できる仕組みになっています。(ベルヌーイの定理を応用)

酸素濃度をあげよう!と思ってダイヤルを100%にしたところでフローが変化してしまうので酸素濃度は高くなりません。

表を確認してフローが30L/minになるように設定するのが正しい使い方です。

 

酸素デバイスの特徴

酸素デバイスの特徴については表でお示しします。

 

注意していただきたいのが低流量システムの酸素濃度はあくまで目安です。

 

患者さんの吸気流速が大きくなればなるほど実際の酸素濃度は低くなります。

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まとめ

  • 低流量か高流量システムは30L/minをカバーできるか否かによって決まる
  • 酸素療法は酸素濃度とフローの2軸で考える
  • インスピロンは早見表を確認してトータルフローを30L/minに調整する

 

以上参考になれば嬉しいです!

 

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では歯磨いて寝ろよ!

by かんごし父ちゃん

COVID-19における”非”気管挿管患者における腹臥位療法

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皆様こんにちこんばんは!

 

昨日の夜勤はノンストップで疲れました・・。

 

ベテランのお姉様との連携がうまくいかなかったなぁ・・。反省^^;

 

さて今回は腹臥位療法シリーズのラストを飾る

 

気管挿管患者(COVID-19)の腹臥位療法に関するお話しです。

 

その他の腹臥位療法に関するお話(メリット・デメリット・手順など)は下記を参照して下さい♪

 

nurse-daddy.hatenablog.com

nurse-daddy.hatenablog.com

 

 

論文を読むことに慣れてるわけではないんですが・・そして独学なので批判的な吟味まではできないかもしれせんが海外の文献をご紹介いたします。

 

認定になるまではこうした文献なんて読んだことがなかったのですが

 

皆様にも共有できたらと思いました。

 

ということで本日も一緒に学習して行きましょう!

 

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<本日の内容>

 

 

文献の紹介

今回取り上げる文献です。

 

新型コロナウィルス感染症の非気管挿管患者における腹臥位療法に関する論文です。

 

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私は英語はできませんが翻訳を頼みにいつも読んでいます。

 

■論文の題名

非挿管の呼吸不全患者(COVID-19)における腹臥位療法の生理学的効果と実現可能性:前向きコホート研究(Lancet Respir Med.2020 Aug ;8(8):765-774.)

 

ポイント!

前向きコホート研究というのはある仮説(PECO)をもとに現在から未来の時間軸で行う観察研究の1つです。ある暴露因子とアウトカムの因果関係を調査することができます。

 

この論文はLancetと呼ばれる有名な医学雑誌に掲載された論文です。

 

研究を順番に読んでいこう

 【研究背景】

・COVID-19では酸素療法や非侵襲的人工呼吸器(NIV)のサポートが多くの場合必要になる

 

・しかしそれでも状態が悪くなり気管挿管を必要とすることが多い

 

・COVID-19では20〜41%にARDSを発症する

 

・COVID-19以外のARDSでは腹臥位療法の有効性が示されている

 

・複数の研究者はNIV下(非挿管)で腹臥位療法を行うことで酸素化の改善や呼吸努力を低減する可能性がある述べている

 

・これは自己誘発性肺傷害のリスクがある患者には有益な可能性がある

 

・また気管挿管の回避やICU入室が減ることで資源が限られている状況として有益な可能性がある

 

・しかし同時に気管挿管の遅延や嘔吐,血栓症のリスクを伴う可能性がある

 

・研究開始時には非気管挿管患者の腹臥位療法の安全性や実現可能性に関する報告はなかった

 

・しかし研究中に酸素化が改善することが報告された

 

【方法】

・イタリアのSan Gerardo病院(三次旧救急病院)

 

■組み入れ基準

・18〜75歳のcovid19の確定診断を受けNIV(NPPV=CPAP),酸素療法を受けている入院患者

・口頭or書面で同意がとれている

 

■除外基準

・妊婦、精神状態に変化があった患者

・NYHA≦II以下、proBNPが正常値の2倍以上=つまり心不全患者

・在宅非侵襲的人工呼吸、HOT中のCOPD患者

・主治医が禁忌とした患者

・挿管が差し迫っていた患者

 

ポイント!

組み入れ・除外基準は研究の安全性を保つことや研究対象を明確に位置付けることにおいて非常に重要な項目です。具体的かつ明確な基準が求められます。

 

■流れ

組み入れ→ベースラインのデータ収集[SP 1]→腹臥位→10分後にデータ収集[PP1]→最低3時間腹臥位を実施→仰臥位→1時間後にデータ収集[SP 2]

(この間NIV,酸素の条件はできる限り変えない)

 

・SP 1:腹臥位前のデータ

・PP 1:腹臥位後10分経過した後のデータ(腹臥位中)

・SP 2:腹臥位終了(3時間)後に仰臥位に戻して1時間後のデータ

 

・3時間経つ前に患者から中止の希望があれば中止

・1クール終了後は腹臥位か仰臥位とするかは自由に選択する

・腹臥位の快適性は4段階で患者の主観で評価

 

(Primary Outcome:主要評価項目)

SP 1とSP 2のPF比(PaO2÷FIO2)

つまり腹臥位前と腹臥後の酸素化の変化

 

(Secondary Outcome:副次評価項目)

・実現可能性:3時間腹臥位を継続できるか

・換気への影響:PaCO2

・血圧や呼吸困難の変化など

 

ポイント!

臨床研究では通常、研究の趣旨(治療の場合患者の転帰または代替になる指標)に対する主要評価項目とその他の評価項目である副次評価項目を研究のアウトカムにしています。

 

【結果】

・対象患者:最終的に56人が対象者となった

・9名の患者が3時間の腹臥位に耐えられなかった(理由は下図参照)

・47名の患者が3時間の腹臥位に耐えられた

・その内50%に当たる23名がその後に腹臥位療法を継続した

・1名のデータが欠損したため改善したかの判断がつかなかった

・にしても20日間の入院数が667名という驚きの数です。。

・登録された患者のうち32%に当たる18例が最終的に気管挿管された

 

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■Table1 :患者層

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--続き--

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・年齢は日本の患者層よりも若い印象

・喫煙者や糖尿病,COPD,肥満の患者は少ない(=重症化リスクのある患者層が少ない)

・ほとんどがNPPVをつけての腹臥位だった

 (ヘルメット型で頭をすっぽり覆うような形状)

 

 

■Table2:評価項目(抜粋しています)

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*腹臥位前後とはそれぞれSP 1とSP 2を意味します

 

腹臥位療法を実施した後に仰臥位に戻すことで

 

酸素化は改善しないという結果でした。 

 

しかし腹臥位後10分経過した状態(PP1)では酸素化の改善が示されました。

 

その表がこちらです。

 

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A:仰臥位→腹臥位→仰臥位→その後も腹臥位を行った群

B:仰臥位→腹臥位→仰臥位で終了した群

 

縦軸がP/F比=酸素化を示しているので腹臥位後10分経過した時点(PP1)ではどちらも酸素化が改善しているのが分かります。

 

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私見

まずはじめにこの時期のイタリアの感染状況が恐ろしいと思いました。

 

1つの病院で1日平均で33人以上のCOVID-19患者が入院しています。

 

この頃の1日あたりの感染者数をイタリアと日本で比較すると

 

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出典:JOHNS HOPKINS大学ホームページより(https://coronavirus.jhu.edu/map.html)

 

グラフ的にはあまり変わり無いように思いますが縦軸の”単位”に注目して下さい

 

1K=1000人なので

 

2K=2000人

 

500K=500000人(50万人)

 

全く別世界であることが分かります。

 

まずはこの中で臨床研究を実施しているのがすごいと思いますし

 

限られた医療資源の中で少しでも重症化を回避するような仮説を検証するために行動を具体化していることがすごい。

 

結果の解釈ですが

 

この記事で記載したこと以外にも多くの情報が論文には記載されています。

 

腹臥位を行っても仰臥位に戻すと一度改善した酸素化が再び低下するという結論でしたが

 

覚醒下でも腹臥位が耐えられる(Fesasibility=実現可能性)ことは証明されました。

 

しかしながら高齢者が多い日本では結果が異なるように感じます。

 

ただこの研究で重要だと感じたのが

 

呼吸困難の程度や呼吸補助筋の使用が有意差こそないものの低下している傾向があります。

(対象者が少ないのも影響していると思います)

 

これは気管挿管を行ったとしても行わなかったとしても

 

自発呼吸の呼吸努力が増大することにより起こる肺傷害(P-SILI)を予防する可能性があるのではないかと感じさせます。

 

 

ポイント!

P-SILIとは重症呼吸不全において自発呼吸によって経肺圧(肺胞内圧)が上昇することで肺に傷害をきたすことです。

COCID-19では感染後最初の肺傷害を生じると肺血管透過性が亢進し肺水腫やガス交換能が低下するため呼吸困難が生じます。

そうすると呼吸努力が増大し二次的に肺傷害が起こる負のループに陥ります。

 

今後日本においても覚醒下の腹臥位療法が選択される場面も増えていくかもしれません。

 

そうした意味では重要な研究であったと感じます。

 

以上論文を読んでいきました。

 

実際には本論とは別に付属の文章もあってボリュームがかなり大きいので

 

かなり割愛しながらお示ししました。

 

英語の論文であっても翻訳アプリとちょっとした読み方のコツを掴むことで

 

誰でも論文を読めると思います。

 

Twittterのフォローもお願いします^^

ということでは磨いて寝ろよ!

by看護師父ちゃん

続!腹臥位療法 〜体位変換の実際とリスク編〜

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皆様こんにちこんばんは!

 

緊急事態宣言の範囲が広がっていますね。。

 

ただ第一波の時の緊急事態宣言と違って

 

第一波の時と危機感に違いがあるのではないでしょうか?

 

これって新型コロナの対策(手指衛生やユニバーサルマスク等)がなんとなくでも分かったからだと思います。

 

人間は分からないことに対して恐怖や不安を抱くものです。

 

つまり分からなかったコロナのことが分かってきてるということでもあるのかなと思います。

(真偽はともかく様々な情報が溢れてることは別の問題として・・。)

 

さて今回は前回に引き続き腹臥位療法(Prone Positionig)の続きです。

 

もし前回の記事を見ていない方は下記リンクを参照して下さい♪

 

nurse-daddy.hatenablog.com

 

 

今回は具体的な方法やデメリットについてお話していきたいと思います。

 

ちなみに方法については正解はありません。

 

施設によって方法は異なります。

 

なのでこの記事で紹介している方法が安全性や合理性を担保しているとは限りません。

 

そこだけは十分にご理解下さい。(責任は実施した側に帰属します)

 

では今日も一緒に学習していきましょう!

 

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■本日の内容

 

腹臥位療法の方法

【事前準備】

  • 多くは筋弛緩を投与した上で実施する
  • 鎮痛と鎮静を確実に行う

 

これが大事です。

 

呼吸不全で苦しいうえにその状況でうつ伏せになることを想像すると・・

 

なので必ず鎮静(深鎮静)・鎮痛を確実に行い

 

さらには筋弛緩を投与することが大事だと思います。

 

ちなみに腹臥位療法は1回換気量を減らすことも目的の1つとお伝えしました。

 

呼吸不全の患者さんに深鎮静をかけたり筋弛緩を使用することの理由は

 

吸気努力をなくすことと1回換気量を抑えることです。

 

これは経肺圧(肺に実質的にかかる圧力)を低減すること、VILI(人工呼吸器関連肺傷害)を予防することが目的です。

 

この2つのキーワードが分からなくても大丈夫です。

 

換気量が増えれば肺を傷つける=1回換気量を抑えると肺の保護に繋がる

 

と思って下さい。

 

さて方法の続きをお話しします。

 

【手順】

STEP 1 人員配置とブリーフィング

 

まずはじめに人員を確保します。

 

看護師だけで行うことはなく医師も含めた多職種で実施すべきだと思います。

 

理想は医師・看護師・セラピスト(リハさん)が良いと思います。

 

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概ねこのような配置で実施します。

 

頭側は医師が担います。

 

役割としてはメンバーのリードと気管チューブの把持です。

 

そして両サイドには看護師や医師が患者を体位変換したり持ち上げたりする係と

 

クッションを挿入する係に分かれます。


どうしても患者さんを持ち上げなければいけないタイミングがあるのでお大人数が必要になります。

 

ブリーフィングの内容としては

  • 手順の確認
  • 不安や疑問点の確認

これが重要です。

 

体位変換に関わる全ての人が共通理解していないと必ず問題が起こります。

 

なので最も重要なのは事前のブリーフィングだと思っています。

 

STEP 2 体位変換

体位変換を行うにあたっては

 

背側だけドローシーツを敷いて行う方法もあれば

 

背側・腹側(お包み)にシーツを敷いて包むようにする方法などがあります。

 

個人的には包んでしまうのが楽だと思います。

 

患者さんは筋弛緩をかけていることがほとんどなので

 

包んでしまった方が安定しますし介助者が楽です。

 

その後の手順は

  • ベッドの端に移動する
  • 側臥位にする(このタイミングで心電図の電極を背中に変える)
  • 側臥位から腹臥位にする
  • 1名を除き全員で患者をフラットに持ち上げる
  • 残りの1名がクッションを挿入する

 

概ねこの手順で実施します。

 

前回の記事でお伝えした論文の方法についてはyoutubeで見られます。

https://www.youtube.com/watch?v=E_6jT9R7WJs&t=76s

 

この方法ではクッションを使用していませんが

 

どうしても褥瘡ができてしまうので皮膚保護剤とともにクッションを使う方がよいと思います。

 

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本当は実際の写真を載せたいのですが・・

 

大体はこのような位置にクッションを挿入します。

 

顔はジェル状のクッションや腹臥位専用のクッションを使用します。

 

特に重要なのが顔と前胸部にクッションを配置することで頸部周囲に空間を作り

 

気管切開の場合にカニューレが圧迫されることを防ぎます。

 

STEP 3 その他のポイント

ちょっとしたポイントですが

 

軽く頭側を上げるような形でベッド全体の傾斜をつけることです。

 

顔面の浮腫を少しでも軽減することが目的です。

 

さらには眼球損傷予防でアイパッチを貼ることも重要だと思います。

 

眼球損傷は程度によって失明の可能性があるのでとても重要です。

 

腹臥位療法の継続時間としては16時間を目安にしています。

 

多くの論文では12〜16時間実施していることが多いです。

腹臥位後の注意点

ポイントは

  • 呼吸性アシドーシス
  • 循環動態の変調
  • 気管チューブの閉塞

目的でもありますが1回換気量が減るということは

 

二酸化炭素分圧が上昇します。

 

そうすると当然ですが血液は酸性に傾きます(アシデミア)

 

肺保護戦略でもそうですが

 

二酸化炭素血症を許容する(Permissive Hypercapnea)という考え方があります。

 

肺を保護(1回換気量を減らす)する代わりに、CO2が上昇するのは許容しようという感が方です。

 

つまりリスク(CO2上昇)よりもベネフィット(肺保護)の方が上回っているので良し!ということです。

 

なのでどこまで許容するかは医師と事前に共有しておくと良いでしょう。

 

また実際に腹臥位をするとわかるのですが気管吸引をするのがどうしても難しくなります。

 

なので体位変換後に気管チューブの逸脱や折れ曲りがないかを確認することもそうですが

 

気管吸引できるかも確認しておくことをお勧めします。

 

ECMOを使用していない限り

 

t気管チューブが閉塞すると呼吸ができなくなってしまいます。

 

腹臥位療法のリスク

合併症についてですが前回の論文に記載されている合併症を載せます。

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結構抜管しているのは恐ろしい・・(実施には見たことありません)

 

これを見て感じて欲しいのは

 

急変するリスクがあるということです。

 

実施するのは簡単ですが

 

想定されるリスクは最小限に抑えなければ倫理的に問題がある治療となります。

 

なので勇気を持って中止するということも大事です。

 

これについては事前に医師と共有しておくのが重要です。

 

ということで具体的な手順やリスクの側面についても説明しました。

 

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ボリュームが多くなってしまったので、気管挿管前の腹臥位療法については次回にしたいと思います。

 

皆様少しでも腹臥位療法がイメージできたでしょうか?

 

少しでも参考になれば幸いです^^

 

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では歯磨いて寝ろよ!

by看護師父ちゃん

うつ伏せ(腹臥位)にすると何が良いの?COVID-19(コロナウィルス)と腹臥位療法の関係。

皆様こんにちこんばんは!

 

今回は”腹臥位療法”に関するお話です。

 

最近テレビでは新型コロナウィルス感染症の話で持ちきりです。

 

そんな中「患者をうつ伏せにすることが有効です」という報道も見かけます。

 

実は患者をうつ伏せに寝かせる腹臥位療法はコロナ以前から行われている治療法です。

 

集中治療の経験がない方などはなんで腹臥位にすると良いんだろう・・

 

こんなことを思った方はいるのではないでしょうか?

 

父ちゃん自身大事にしていることでもありますが

 

重要なケアであっても

 

それを実施する人が目的やリスク&ベネフィットを理解していないと意味がない

 

と考えています。

 

とりわけ新型コロナウィルス感染症関係に関しては

 

”腹臥位””ECMO””サイトカインストーム”

 

などの”言葉”だけが一人歩きしている印象があります。

 

なのでこの記事を通して腹臥位療法について一緒に学習していきましょう^^

 

では早速いきましょう!

 

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■今日の内容

 

腹臥位療法の3つのメリット

腹臥位療法は英語でProne Positioning(プローンポジショニング)と呼びます。

 

ちなみに仰臥位は英語でSupine(スーパイン)と言います。

 

なんだか仰臥位っぽくないですね笑

 

さて結論からお伝えすると

 

COVID-19に対する腹臥位療法の目的・メリットは以下の通りです

  • 背側の無気肺(=下側肺障害/荷重側肺障害)の改善と予防
  • V/Qミスマッチ(換気血流比不均等)の是正
  • 1回換気量の低減

 

目的やメリットを知らないよりはこれらの項目について知った方が良いです。

 

しかしこれだけでも不十分です。

 

特に

 

腹臥位療法で1回換気量を減らす?!

 

と不思議に思った方もいると思います。

 

なのでこれ以降に解説する”意味”についてしっかりと理解しましょう^^

 

背側の無気肺(=下側肺障害)の予防と改善

皆様は無気肺という言葉を聞いたことがありますか?

 

カルテで見かけたことがあるという方もいるかと思います。

 

無気肺とは簡単にいうと肺に空気が入っていないということです。

 

ん??

 

と思いますよね^^;

 

肺というのはブドウの房のように無数の肺胞がくっついた状態になっています。

 

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通常は肺胞の中は空気で満たされています。

 

なのでX線画像を見ると黒く映ります。

 

無気肺は様々な要因によって引き起こされます。

 

■気管支の閉塞による無気肺

これは閉塞性の無気肺とも呼ばれます。

 

気道分泌物(痰)などによって気管支が閉塞することで

 

その先の肺胞に空気が到達しない(肺胞が萎んでしまう=虚脱)状態を示します。

 

言い方を変えると肺(肺胞)が潰れた状態とも言えます。

 

肺胞は空気を失い潰れた状態となっているのでX線画像では潰れた範囲が白く映ります。

 

人工呼吸器患者さんのX線画像である日突然肺の一部が白くなってる!

 

ということで発覚することがあります。

 

その時は

 

気管支鏡で分泌物を吸引して閉塞を解除したり

 

体位ドレナージを行うことによって改善します。

 

この他にも胸水によって圧迫されることや高濃度酸素を投与することにより起こる吸収性無気肺など無気肺の原因は様々あります。

 

COVID-19と下側肺障害

さて、無気肺の説明をしましたがCOVID-19との関連を解説します。

 

重症のCOVID-19では人工呼吸器管理を要する状態になります。

 

特にCOVID-19では治療が確立しておらず改善するか否かは最終的に患者さん自身の免疫に依存します。

 

つまり患者さんの免疫がウィルスに打ち勝つまでの期間を医療でサポートするという”支持療法”が主体です。

 

そうなると人工呼吸器期間が長引くことにもなります。

 

人工呼吸器では生理的な呼吸である陰圧呼吸ではなく陽圧呼吸になります。

 

そうすると背中側の肺が無気肺になりやすいと言われています。

 

その理由は大きく分けて2つです。

  • 臥床による影響
  •  自発呼吸の消失に伴う横隔膜の稼働制限

 

■臥床による影響

人工呼吸器の患者さんは臥床が余儀なくされます。

 

そうすると重力によって気道分泌物が背中側に貯留した状態になります。

 

ちなみに背中側の肺というのは主に下葉です。

 

*下葉は基本的に背中側に大きく広がっています。

(下葉の聴診する場合は背中側に聴診器を当てましょう)

 

■陽圧換気時の横隔膜の動き

陰圧呼吸と陽圧呼吸の大きな違いは横隔膜の動きにあります。

 

まず図を見て下さい。

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【図の説明】

・青い線:呼気時の横隔膜の位置

・青い点線:吸気時の横隔膜の位置

・黄色の丸:肺

・赤い>:肺毛細血管

 

生理的な呼吸では横隔膜が大きく下がることで胸腔内の陰圧が発生します。

 

自然呼吸の場合はどちらかというと背中側の横隔膜が大きく動きます。

 

そうすると背側の肺(下葉)の換気量が大きくなります。

 

さらには仰臥位の場合は重力によって背中側の肺毛細血管の血流が増えるので

 

換気量が増えた肺=血流が増えた毛細血管


という具合に換気と血流のバランスがつり合った状態となりガス交換の効率が良くなります。

 

一方で陽圧呼吸をみましょう。

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陽圧呼吸(機械換気)では自発呼吸がなければ横隔膜は動くことはありません。

 

人工呼吸器から肺に向かって強制的にガスを送り込みます。

 

そうすると横隔膜は押されるような形で足側に動きます。

 

しかしながら臓器などの重さによって背側の横隔膜は動きづらい状況です。

 

なので腹側の横隔膜が動くことになります。

 

もうお分かりだと思いますが

 

背中側の肺は拡張しづらい状況になります。

 

さらには

 

換気の多い肺=血流の少ない毛細血管

換気の小さい肺=血流の多い毛細血管

 

といった状況が生まれガス交換の効率が悪くなります。

 

これが

 

V(換気)/Q(血流)ミスマッチ=換気血流比不均等

 

となるわけです。

 

ちなみに無気肺となった肺の周りの毛細血管は

 

肺から酸素を渡されない状態で動脈血として心臓に戻ります。

 

なので動脈血の酸素飽和度は低下して低酸素血症に陥ります(シャント)

 

COVID-19をはじめARDSでは広範なシャントによって著しい低酸素血症になるのが呼吸不全の主座となります。

 

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腹臥位療法の主な目的はV/Qの是正と無気肺の改善だ!

ここまで説明してきましたが、COVID-19の重症例では背側の広範な無気肺を生じることになります。

 

腹臥位療法ではこれが逆転します。

 

つまり

  • 潰れた背側の肺を上にすることで再び拡張する
  • 換気の保たれている肺を下にして血流とのバランスを改善する 

 

大きなメリットとしては潰れてしまった下葉を再び拡張させることにあります。

 

これによって酸素化を著しく改善し、ひいては患者のアウトカムを良好にしようというのが腹臥位療法のねらいです。

 

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腹臥位療法のエビデンス

メリットや目的について解説しましたがエビデンスはあるの?

 

と思った方もいると思います。

 

腹臥位療法は経験的に以前から行われていたそうですが、酸素化を改善するという以上のアウトカムが示された研究はなかったそうです。

 

しかし2013年にARDSに対する腹臥位療法の有効性が示された論文がNew england journal (権威のある雑誌)から発表されました。

 

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これはARDSと判断された患者さん466人を対象に腹臥位と仰臥位(半座位)の2群にランダムに分けて比較しました。(フランスとスペイン)

 

結果としては患者さんの重症度(SOFAスコアで調整)の影響を考慮しても腹臥位群で28日死亡率(Primary Outcome)が統計的に優位に低かったという結果になりました。

 

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他にも腹臥位療法についてはメタアナリシスなどの論文が出されていて、重症ARDSの標準治療の1つになっています。

 

エビデンスという言葉を聞きますが本当の意味でのエビデンスは研究(科学)によって有効性が示されたものを示します。

 

もちろん解剖生理学的なエビデンスも重要なのどすが。

 

ということで少し長くなってしまったので

 

ここでPart1を終わりにしたいと思います。

 

ここまでご覧になって腹臥位療法の目的やメリットについて理解できましたでしょうか?

 

次回も腹臥位療法の続編をお伝えしたいと思います^^

 

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次回は

  • 腹臥位療法の具体的な方法
  • 腹臥位療法のデメリットや注意点
  • 覚醒下の腹臥位療法

 

これらについて解説したいと思います。

 

Twitterのフォローもお願いします^^

では歯磨いて寝ろよ!

by看護師父ちゃん

意外と教えてくれない聴診器の基本!!

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皆様こんにちこんばんは!

 

新型コロナウィルス感染の感染者数が増えるなか首都圏では緊急事態宣言の存在が色濃くなってきました。

 

医療従事者としては身が引き締まる思いですね。

 

 

今日のお話は聴診器についてです。

 

先日Twitterでこんな質問がありました。

 

”父ちゃんはなんの聴診器を使ってますか?オススメの聴診器はありますか?”

 

という内容です。

 

確かに聴診器って

 

看護学生や就職した時になんとなく買ったものが多いと思います。

 

実は父ちゃんも看護学生時代から姉のお古を使ってきて、認定になってから初めて自分で聴診器を買いました^ ^;

 

一体何を買えば良いの?!といった疑問があることの背景には

 

聴診器について"実は良く分からない"という方が多いのではないでしょうか。

 

学ぶことの機会が少ない聴診器

 

今日は一緒に学習していきましょう!!

 

では早速いきましょう♩

 

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〈今日の内容〉

 

 

聴診器の歴史 

聴診器の歴史は古く原型は1816年にフランスの医師が発明したそうです。

 

ちなみに1816年は日本ではちょんまげのお侍さんがいる江戸時代。

 

文明の差を感じてしまいます・・笑

 

初期の聴診器は木の筒だったそうです。

 

名前はギリシャ語の胸(ステソ)・検査(スコープ)になったそうです。

 

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江戸時代から原型があったとは歴史を感じます。

 

ちなみにハーバード大学のドイツ出身の医師であるデイビッド・リットマン(USA)により1967年に小型化と軽量化を行い現在の聴診器として普及したそうです。

 

そうです。

 

この人が我らがよく知る”リットマン”ブランドの生みの親というわけです。

 

しつこいですが笑

 

1967年の日本は昭和42年。

 

高度経済成長によって活気付いている真っ只中。

 

当時のかけそばは60円、ラーメンは100円だったそうです笑

 

聴診器の構造と種類

皆様はどんなタイプの聴診器を使っていますか??

 

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恐らくこのような聴診器を使っている方が多いのではないでしょうか?

 

通常はベル面と膜面の2つの面があるダブル型の聴診器を使っていると思います。

 

あまり各部位の名称を気にしたことはないと思いますが念のため。

 

基本的には

  • 耳に当てる部分のイヤーピース
  • 聴取する部位に密着させる部位をチェストピース

 

と呼びます。

 

ギリシャ語の胸:ステソもそうですが、チェストピースという名前を見ると

 

聴診のはじまりって胸部の聴診から生まれた概念だったんでしょうね。

 

 

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一般的なダブル型の聴診器はチェストピースが2つに分かれています。

 

面積が広い方は膜が貼られています。

 

この膜はダイヤフラムといって皮膚に密着した時に

 

低音をカットすることで高音域がクリアに聞こえるようにできています。

 

高音域は呼吸音や心音・心雑音などが分類されます。

 

なので普段聴診する時はこのダイヤフラムの貼られた面を使用しているのです。

 

一方でその反対側です。

 

これを臨床で使っている人は結構マニアックです。笑

 

ダイヤフラムの反対側はベル面と呼びます。

 

高音域に適しているダイヤフラムと異なり

 

低音域が聴取しやすいと言われています。

 

臨床では膜面を使うことが大半だと思いますし、それで充分です。

 

父ちゃん自身もそうですがベル面がないシングルタイプの聴診器もあります。

 

先程ダイヤフラム(膜)のはなしをしましたが

 

ダイヤフラムの周りにはリング状のゴムがあります。

 

しっかりと皮膚に密着するとダイヤフラムがリングに接することで低音域がカットされます。

 

つまり軽くポンと当てると

 

低音域がクリアに聞こえるようになります。

 

シングルタイプですと

  • 強く押し当てた時は高音域
  • 軽く押し当てると低音域

 

となります。 

 

よかったら今度臨床で試してみて下さい♩

 

何気なく使ってる聴診器ですが

 

小技がいっぱいあるんですね♩

 

聴診器の持ち方

先程の話からすると

 

呼吸音など高音域をクリアに聴診するには

 

ダイヤフラムをしっかりと皮膚に密着する必要があります。

 

目安としては

 

聴診器を皮膚に当てて離した時に跡が少し残るくらいです。

 

そのためにはチェストピースをしっかりと持たなければなりません。

 

私が研修等で推奨している持ち方は

 

指を2本指のピースにして

 

チェストピースを挟む方法です。

 

このような持ち方をすると皮膚にピタっと密着することができます。

 

 

 

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COPDの患者さんなどのかなり痩せている患者さんの場合

 

浮き出た肋骨によってチェストピースが胸壁に密着しづらいことがあります。

 

その場合はチェストピース全体を手で覆う方法もあります。

 

 

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要するにチェストピースをしっかりと密着させるのがポイントということです。

 

ちなみに腹部の聴診については以前記事にしているので良かったら見てください♩

 

 

nurse-daddy.hatenablog.com

 

 

おすすめの聴診器は?

特に推している聴診器があるわけではないんですが

 

値段は重要だと思います。

 

amazonで調べてみると1000円くらいの聴診器もあります。

 

個人的な意見ですが

 

性能は価格に比例すると思います。

 

認定になってはじめて聴診器を買ったんですが笑

 

リットマンのマスタークラシックⅡの真っ黒を使ってます。

 

これを初めて使った時

 

心音や呼吸音の聞こえ方が全然違いました。

 

エントリーとしてお勧めは5000円程度が良いと思います。

 

ちょっと頑張りたい!

 

あるいは

 

仕事のモチベーションを上げたい!

 

という方は1万円台のを使っても良いと思います。

 

参考書もそうですが

 

仕事への投資は絶対無駄にはなりません。

 

買い替えを検討している方やこれから買おうと思っている方がいたら是非参加にして下さい^ ^

 

 

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まとめ

  • 膜面(ダイヤフラム)は高音域がクリアに聴こえる
  • ベル面は低音域に適している
  • チェストピースは圧痕が残る程度に密着させる
  • 持ち方はピースで挟む
  • エントリーのお勧めは5000円程度の聴診器

 

以上参考になれば嬉しいです!

 

では歯磨いて寝ろよ!

by看護師父ちゃん

2020年のブログのまとめ & 今年の目標の巻。

皆様あけましておめでとうございます!

 

祝!!2021年!!

 

パチパチパチパチ!!

 

2020年はブログでの発信をはじめた記念すべき年になりました。

 

当ブログを開始したのは2020年10月9日です。

 

はじめは自己紹介から投稿しました。

 

 

nurse-daddy.hatenablog.com

 

 

こんな記事にもスターが。。(ありがたや)

 

ということで

 

2021年のはじめを飾る最初の記事は

 

2020年のブログのまとめ。

 

としたいと思いまーす!

 

では早速いきましょう!

 

<本日の内容>

 

 

ブログの投稿数

投稿数:38記事

ブログ投稿日数:29日

ブログ運営期間:84日

 

■カテゴリー別投稿数

▷看護・クリティカルケア :22記事

▷日常・子育て・家事:11記事

▷その他:3記事

▷就職・キャリア:1記事

 

アクセス状況

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アクセス状況としてはこのような形です。

 

PV数としては2714となっています。

 

何万PVとかネットで見ますけど、それってすごい数だと実感します・・

 

地道にコツコツと記事を書いていきたいと思います^^

 

今年の目標

父ちゃんの今年の目標は

  • 臨床研究の実施と発表(集中治療医学会への投稿を想定)
  • 現在自分の抱えている仕事を後進に譲る(後輩育成目的)
  • 臨床実践と自身のアウトカムの可視化(特定行為に関しては学会に出したい)
  • ブログの投稿を継続する(毎日にはこだわらないが2日に1回ペースは頑張る)

 

この4つの柱で頑張りたいと思います!

 

ブログ投稿に関しては自分の勉強も兼ねてアウトプットし続けたいと思います。

 

それでは本年も宜しくお願い致します!!

 

では歯磨いて寝ろよ!

by看護師父ちゃん

集中治療室で新型コロナ患者を受け入れた看護師の”今年”の回想

皆様こんにちこんばんは!

 

長かったようで短かった今年も終わります・・

 

皆様にとって今年はどのような年になりましたでしょうか??

 

今年は新型コロナウィルスの流行によって

 

世の中が一変しました。

 

と〜ちゃんも集中治療室で働く看護師として働くなかで

 

仲間の,自分の,そして家族の命に危険が迫るという思いを

 

医療現場で初めて感じました。

 

今回は

 

"率直な気持ち"

 

"医療現場の実際"

 

について

 

回想しながらただただ綴っていきたいと思います。

 

 

 

 

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”今でも忘れない3月”

 

何が正しくて間違っているか分からない状況のなか

 

夜勤で1人の新型コロナウィルスによる肺炎の患者さんを受け入れた。

 

防護用具を全身に身にまとい

 

入室を待つ23:30だった。

 

主任として自ら受け入れを希望し

 

自分が受け持っている患者さんを他の看護師に引き継ぎをした。

 

スタッフと談笑しながら入室を待っていたが

 

とても緊張して不安だったのが正直な気持ちだった。

 

ただ

 

入室した患者さんの「苦しくて緊張した面持ちの表情」を見た瞬間に

 

いつものスイッチが入って,そこからは冷静に対応できたのを鮮明に覚えている。

 

その他にも

 

新型コロナウィルスによる重症肺炎から回復して人工呼吸器をつけながら初めて座った患者さんの

 

ピースをしている姿を部屋越しに見たこと。

 

回復の見込みがなくなり, 危篤の状態となった患者さんに対して

 

家族がガラス越しにマイクで「がんばったね」と声をかけた瞬間も目にした。

 

そして亡くなった瞬間に,袋に入れられて

 

顔を見ることもできず

 

亡くなった事実をただ伝え聞いた家族の泣いている姿も見た。

 

人工呼吸器の適応を伝えられたが,気管挿管をせずに苦痛の緩和を行う選択をした男性

 

窓のない個室で夜な夜な頻繁にナースコールを押し,ただ一人その時を待つ

 

彼は囚人ではない。

 

病を抱えるだけの善良な一般市民だ。

 

夜勤の時には暗い個室で若い時の話を聞かせてくれた。

 

 

そして

 

コロナ患者を見送ったあと陰圧個室の消毒のためにモップがけをしているなか

 

次の入室依頼がくる

 

今は"夜中の3時"だ

 

看護師になって夜中に部屋の消毒作業をするなんて夢にも思わなかった。

 

 

 

今も変わらず大変だけど

 

当時は医療従事者も本当に不安な状況のなかで仕事をしていた。

 

”家族が罹患したらどうしよう”

 

”自分が罹患したらどうしよう”

 

”仲間が罹患したらどうしよう”

 

仕事が終わり,病院のシャワー室で体をきれいにして

 

少しでも不安要素を減らして保育園に我が子を迎えいに行く。

 

これは紛れもない事実だ。

 

ストレスなく仕事をしていたとは言えない。

 

ただ,今はこのような闇を彷徨うような気持ちとは違う。

 

今ではCOVID-19に関するマニュアルが整備され

 

一般診療も一部制限して医療従事者の負担軽減や院内感染を防ぐための基盤ができたからだ。

 

感染対策のスペシャリストが本当に素晴らしい仕事をしてくれている。

 

ただし

 

これは病院の方針によって大きく環境が異なる。

 

日本,いや世界には未だ闇を彷徨うような気持ちの医療従事者はたくさんいるだろう。

 

しかしながら

 

医療従事者にとって

 

患者さんが元気になってくれることはモチベーションにつながる。

 

医療現場では日夜ストレスを抱えながら

 

患者さんにとって”何が善になるか”

 

考えながら治療やケアにあたっている医療従事者がいる。

 

”今は寝ているから起こさないほうが良い”

 

”寝ているけれども痰を吸引する処置を行う必要性がある”

 

”全身がだるいかもしれないがリハビリをしないと社会復帰ができないから頑張ってもらう”

 

”今後の見通しが悪い状況が予想されるから,早めに家族との時間がとれるように医師と調整しよう”

 

など医療従事者として日々葛藤しながら患者さんとその家族の”善になる”ことを考えている。

 

その中でも

 

スタッフ間で他愛もない冗談を言いながら笑って仕事をしている。

 

忙しくて不機嫌になるスタッフもいる。

 

どれもが紛れもない事実だ。

 

正直

 

コロナが流行らなければ”看護師”としての仕事を

 

ここまで振り返ることもなかったと思う。

 

今だからこそ言える

 

子供に親(自分)の仕事を誇りを持って伝えられる。

 

別に子供に看護師になって欲しいとも思わない。

 

ただ一人の人間としてこのような経験,思いをしながら看護師の仕事をしたという事実を伝えたい。

 

それだけだ。

 

 

 

これからも

 

"看護師として"の戦い

 

"患者として"の戦い

 

"大切な人が病を持つ家族として"の戦い

 

これは長く続と思う。

 

しかし

 

日本人が持つ生真面目さ

 

そして医療従事者としての専門性,誇りを持ちながら

 

この難局に立ち向かっていきたいと切に思う。

 

 

 

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たった1つのウィルスによって

 

世界が一変した。

 

多くの人が不安に苛まれ

 

涙し

 

落胆した。

 

それと同時に

 

この厳しい状況だからこそ医療従事者として奮い立たせてくれている。

 

こんなことには負けない。

 

がむしゃらかもしれないが

 

希望と活力を胸に

 

みんなで乗り越えていきたい。

 

そして今現在

 

病と闘っている患者さんとそのご家族

 

不安を抱えながら仕事をしているヒト

 

不安のなか家族を職場に見送って家庭を守ってくれているヒト

 

不安な親を笑顔にしてくれる子供たち

 

日夜のシフトをこなしている医療従事者

 

2021年も

 

全てのヒトにとって良き年となりますように。

 

 

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2020年12月31日

看護師と〜ちゃん