かんごし父ちゃんのナース駆け込み寺!

このブログは認定看護師として集中治療室で勤務するかんごし父ちゃんが、困ったナースや看護学生が気軽に学べる内容の情報や2児のパパとして育児に奮闘する日記をゆる〜く描いたブログです。

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カヌラ?リザーバー?! 酸素療法を"1"から学んでみよう!

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皆様こんにちこんばんは!かんごし父ちゃんです。

 

それっぽく見えるようにサムネイルを作ってみました(ドヤ)

 

今は便利でコストフリーのサービスがいっぱいあるんですねぇ。

 

ちなみに前回の記事で紹介しそびれた”翻訳アプリ(サイト)”を紹介します。

 

nurse-daddy.hatenablog.com

 

父ちゃんがいつも使っているのはDeep Lという翻訳サイトです。

(https://www.deepl.com/translator)

 

PC・スマホでもどちらでも使えます。

 

Google翻訳もありますがDeep Lの方がキレイな日本語になるような気がします。

 

この辺のサービスはAIが組み込まれているので使えば使うほど正確になりそうです。

 

さて今回のお話は酸素療法に関する内容です。

 

 先日Twitterでこんな質問をいただきました。

 

「リザーバー付マスクとインスピロンの使い分けを教えて下さい」

 

酸素の投与量やデバイスは医師の指示に基づいて決定すると思います。

 

ついつい臨床では酸素を投与してSpO2が上がれば良し!と思ってしまいます。^ ^;

 

酸素のデバイスにはそれぞれ特徴があります。

 

そして酸素療法を考えるうえでは大事な2つの軸で考えていく必要があります。

 

今更・・と思っている方も今日からでも遅くはありません!

 

一緒に学習していきましょう^^

 

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<今日の内容>

 

酸素療法を構成する2つの要素

酸素療法を考えるうえでは以下の要素を考えることが大事です。

  • 酸素濃度
  • 酸素流量(流速)

 

これを1つずつ解説していきます。

 

酸素濃度

皆様は日常的に吸っている空気(大気)の酸素濃度はご存知ですか??

 

えっ?!全部酸素じゃないの?

 

と思った方もなかにはいるでしょう。

 

父ちゃんも昔はそのように認識してました笑

 

そもそも酸素濃度とは酸素の割合がどのくらいなのかということを意味します。

 

これは難しい言葉でいうと分画とも呼びます。

 

ポイント!

大気に含まれる酸素の割合(酸素濃度)はたったの21%です。

残りの79%はほとんどが窒素です。

(実際には二酸化炭素やアルゴンなども微量に含まれる)

 

では質問です。

 

病院の酸素配管から流れる酸素濃度はどれくらいらでしょう?

 

正解は100%の純酸素です。

 

じゃあ経鼻カヌラもリザーバーマスクも酸素濃度は100%になるの?!

 

と思った方もいるでしょう。

 

流れている酸素の濃度はどちらも100%です。

 

しかし患者さんが実際に吸入した時の酸素濃度は全く異なります。

 

それは次に説明する吸気流速が関係しています。

 

吸気流速

酸素投与をはじめる時に「じゃあ2Lで酸素を始めま〜す」という会話をよくすると思います。

 

このなにげない会話の中に吸気流速のヒントは隠れています。

 

2Lという単位にはもう1つの隠れている要素があります。

 

正確に酸素投与量を表すと2L/min(分)になります。

 

つまり1分間に2Lの酸素が流れるペース(速さ)で酸素を流しているということになります。

 

実は酸素デバイスの酸素濃度を考える時にはこの吸気流速を考慮しなければなりません。

 

健康なヒトの吸気流速(吸うスピード)をご存知でしょうか?

 

1回あたりに吸う量は1秒間に500mlです。

 

これを酸素の投与量の単位であるL/minに直してみます。

 

すると500ml×60秒=30000ml=30Lになります。(30L/min)

 

つまり1分間あたり30Lの速さで吸っていることになります。

 

そうです。

 

酸素2L/minというのはヒトの吸う速さからするとほんの僅かでしかないことが分かります。

 

なので配管から酸素濃度100%の酸素を流していても、カヌラでもマスクでも30l/minには満たないために2Lの酸素以外は大気を吸っていることになります。

 

これがカヌラやマスクの酸素濃度が100%にはならない理由です。

 

ということは患者さんの呼吸努力が強い場合は吸気流速は30L/minよりも早くなるので、同じデバイス・酸素投与量でも酸素濃度は変わるということになります。

 

ポイント!

吸気流速はフローとも呼ばれます。

人工呼吸器のフロー波形(吸気側=基線より上の部分)も同じものを表しています。

例えば人工呼吸器離脱後にHFNCL(ネーザルハイフロー)を使います!と言われた場合にフロー波形を見ればその人の吸気流速が大体数値で分かります。

そうするとHFNCLの初期設定はその数値以上にしておけば吸気流速はカバーできて安定した酸素濃度を提供することができます。

 

低流量システムと高流量システム

先程の話では吸気流速が30L/minが通常だとお示ししました。

 

これが大事で30L/min以上の流量をカバーできるか否かで高流量と低流量システムを分けることができます。

 

ここで問題です。

 

リザーバー付きマスク(RM)はどちらに分類されるでしょう??

 

正解は低流量システムです。

 

RMはリザーバーに溜まった純酸素を吸うことで高濃度の酸素を吸入できます。

 

しかし流量としては10L/minまでになるので30L/minはカバーできません。

 

なので低流量システムに分類されます。

 

大事なのは

  • 酸素濃度
  • 流量(流速)

 

この2軸で考えることです。

 

インスピロンの注意点

インスピロンとはネブライザー式酸素吸入器のことを示してます。

 

インスピロンの場合は流量計としては15L\minまでなので高流量システムとは言えません。

 

しかし回路の工夫によって流量を30L\minに設定することができます。

 

大体はインスピロンのヒーターの裏にのっていますがトータルフローの早見表があります。

 

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インスピロンは酸素流量とダイヤルの開閉度によってフローを調整できる仕組みになっています。(ベルヌーイの定理を応用)

酸素濃度をあげよう!と思ってダイヤルを100%にしたところでフローが変化してしまうので酸素濃度は高くなりません。

表を確認してフローが30L/minになるように設定するのが正しい使い方です。

 

酸素デバイスの特徴

酸素デバイスの特徴については表でお示しします。

 

注意していただきたいのが低流量システムの酸素濃度はあくまで目安です。

 

患者さんの吸気流速が大きくなればなるほど実際の酸素濃度は低くなります。

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まとめ

  • 低流量か高流量システムは30L/minをカバーできるか否かによって決まる
  • 酸素療法は酸素濃度とフローの2軸で考える
  • インスピロンは早見表を確認してトータルフローを30L/minに調整する

 

以上参考になれば嬉しいです!

 

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では歯磨いて寝ろよ!

by かんごし父ちゃん