続 人工呼吸器!(SIMV・CPAP中心です)
皆様こんにちこんばんは!
先日は休日でした。
クロスバイクで80kmライド→帰宅→息子と家の前で遊ぶ→和食中心で夕食作り→明日の日勤の弁当作り→約束のネバーランドを読む
これによって、twitterで宣言しましたが結局ブログを書き終えたのは、2日後でしたw
でも良いんです。
人間だから。笑
人間ってほんと弱いでございますなw
ということで、人工呼吸器の続編を語っていきたいと思います。
今回の内容は
前回のおさらい
前回は人工呼吸器の仕組みや適応をとーちゃん目線で解説しました。
そしてモードはA/Cに焦点を当てました。
- A アシスト:吸い始めは患者さんでその先は機械が最後まで面倒を見る
- C コントロール:吸い始めも吸い終わりも全て機械が担当
- A/C:換気回数の設定を下回ればCが上回ればAが発動する
- 人工呼吸器導入はA/Cで改善したらCPAP
このようにシンプルにお伝えしました。
興味がある方は是非みてくださいね♪
SIMV エスアイエムブイ
SIMVのイメージとしては、SIMVが好きな先生はこのモードを使ってるという感じです。
人工呼吸器管理の多くは、その診療科(先輩が使ってる設定)やこれまでの経験によって決めているケースが多いのが現状だと思います。
モードの良し悪しは様々議論されていますが、人工呼吸器のセッティングでは患者さんが快適なのが”一番の善”だと思っています。
なので、モードの優劣ではなく、個の患者さんをみて快適か非同調をアセスメントすることが重要なのだと思います。
SIMVの
Sは同期する
Iは間欠的に
MVは強制換気する
ということです。
言葉では分かりづらいと思うので、図をみてください。
例えば心臓外科の開胸術直後の患者さんにSIMVで人工呼吸器を開始しました。
まだ覚醒はなく自発呼吸もない状態と仮定しましょう。
【モード:SIMV 換気回数(f):15回/分 1回換気量:500ml】
前回の記事を見た方は、アレ?と思ったかもしれません。
そうです。
自発呼吸がない場合はA/Cと何ら変わらないんです。
なぜかというと、SIMVのSを省くと!
IMV:間欠的強制換気
そう。
間欠的に強制換気(決められた換気量(圧)・換気回数・吸気時間)を送るという機能が働くからです。
では自発呼吸が出た場合にA/Cとどう変わるのでしょう?
さて、心臓外科の患者さんが覚醒して自発呼吸が出てきました・・・
設定は先ほどと変わらず、下記の設定です。
【モード:SIMV 換気回数(f):15回/分 1回換気量:500ml】
変わるのは、患者さんの自発呼吸が18回/分になったことです。
このような形です。
紫の波形と緑色の波形に分けましたが、ご察知の通り紫はSIMVで規程された強制換気の部分(1回換気量:500ml)です。
一方で、緑色の部分は自発呼吸です。
自発呼吸は18回/分・設定の換気回数が15回/分だとします。
そうすると、換気回数を上回った3回分は紛れもない患者さん自身の呼吸になります。
なので、換気量はバラバラになります。
A/CとSIMVの波形の違いを見てみましょう。
どちらも設定や自発呼吸の回数は同じにしましょう。
【モード:A/C 換気回数(f):15回/分 1回換気量:500ml 自発呼吸18/分】
A/Cの場合は自発呼吸全てに機械換気が入ります。
SIMVでは・・
波形で見ると違いが分かると思います。
分時換気量を計算すると
A/C:自発呼吸18回/分×1回換気量500ml=9000ml=9L/min
SIMV(自発呼吸の1回換気量を300mlと仮定):15回×500ml + 3回×300ml=8400ml=8.4L/min
になります。
つまり、SIMVは換気回数を上回った部分の自発呼吸には何もサポートが入らないってことです。
ちなみにSIMVの場合はトリガーウィンドウという概念があります。
これは設定の換気回数は保障するけど、できる限り患者さんが吸ったタイミングで吸気を送りまっせ!ということです。
トリガーウィンドウは設定の換気回数によって決まり、そのウィンドウ内で患者さんの吸気努力が検知されれば、そのタイミングで吸気を送る仕組みになっています。
一方でウィンドウ外の自発呼吸に関しては、特にサポートは入ることはありません。
【SIMV】
【A/C】
A/CとSIMVを比較すると、全ての自発呼吸に対して機械換気が入るか否かで判別がつくと思います。
ちなみにSIMVの自発呼吸の波形は、患者さんの吸気の仕方によって形が変わります。
分かりやすいように便宜上、機械換気と同じ形にしています。
SIMVのメリットは全ての自発呼吸に機械換気が入らないため、換気回数(設定)を減らしていけば、自発呼吸優位になっていくのでSIMVだけでウィニングが可能になります。
SIMVが好きな先生が好んで使っている印象があります。
CPAP & PS
CPAPは本当にシンプルです。
PEEPのように持続的に陽圧をかけているだけです。
つまり自発呼吸がなければ、呼吸の運動は成り立ちません。
■PS(プレッシャーサポート);圧支持
PSは自発呼吸に対して圧の補助を行うものです。
初めて人工呼吸器を勉強した時はこの概念がなかなか理解できませんでした。
A/Cなどの機械換気とPSは何が違うの??という疑問がありました。
簡単に説明すると、一番の違いは
患者さんが吸いたい分だけ吸わせてあげる
ということです。
例えば、A/C(PCV;換気量ではなく圧で規程する)の設定は
・吸気圧:20cmH20
・吸気時間:1秒
・換気回数:15回/分
・PEEP:8cmH2O
このような形です。
患者さんが吸おうとすると、1秒で20cmH20の気道内圧に達するまでガスが送られます。
また、自発呼吸がなければ呼吸のサイクルは4秒に1回と規定されてしまいます(60÷15=4)
一方で、CPAPにPSを設定するとしましょう。
・PEEP:5cmH20
・PS:5cmH20
設定はこれだけです。
めっちゃシンプルです。
つまり換気回数の設定はありませんから、患者さんが呼吸をしないとPSが作動しません。
また、吸気時間の設定はないので患者さんが吸いたい分が吸えます。
ん???
と思った方もいると思います。
PSについては、termination criteria(ターミネーション クライテリア)という考え方で吸気の終わりを判断します。
また英語が出てきたー!!と思った方。
言葉は覚えなくても大丈夫ですw
要は、「患者さんの吸気流量(スピード)が下がったことを確認して吸気が終わりなんだな」と判断しています。
吸い始めはスーッと誰もが勢いよく息を吸いますよね?
その状態を100%の状態だとします。
そうすると、少しづつ息を吸う速度は落ちていくはずです。
その速度がMAXの25%まで落ちたら吸気の終わりと判断して、PSを終了して呼気に転じます。
こうすることで、患者さんの吸いたい分だけ吸えることができます。
ターミネーションクライテリアはおそらく人工呼吸器のデフォルトでは25%に設定されていると思います。
施設によってはCEさんが設定を変えている所もあるかと思います。
ちなみにこのPSはA/CとSIMVのどちらのモードに適応できるでしょうか?
正解はSIMVです。
SIMVではトリガーウィンドウ外の呼吸にはサポートが入りません。
なので、SIMVにPSを設定することで緑色の自発呼吸に対してPSが作動します。
A/Cは自発呼吸全てに機械換気が入るでしたよね?
なので、そもそもPSが入る余地がないんです。
ということで、基本のモードを説明しました。
お分かり頂けたでしょうか?
机上の学習と臨床実践を繰り返し行き帰りすれば、必ず理解できます。
一緒に頑張りましょう^^
次回は人工呼吸器のその他の知識についてお話ししたいと思います!
では歯磨いて寝ろよ!
by看護師と〜ちゃん